じゃあ『4分33秒』を演奏するならどこが良いんですか
初めまして。
ライターの宇佐美と申します。
突然ですが、皆さんは『4分33秒』という曲を知っていますか?
これを読んでいる人たちの中には、『トリビアの泉』で紹介されていて既にご存じの方がいるかもしれません。
ここで初めて名前を聞いたという人に、ものすごく簡単に解説すると、『4分33秒』という曲はアメリカの音楽家ジョン・ケージが1952年に作曲した曲であり、
楽譜全てが休みの曲です。
じゃあ無音じゃん! と思うかもしれませんが、そうではないのです。
演奏場所の内外で偶然に起きる音、聴衆自身が立てる音などの意図しない音は存在する。沈黙とは無音ではなくて「意図しない音が起きている状態」であり、楽音と非楽音には違いがないというケージの主張が表れている。(Wikipedia調べ)
↑こうらしい
カッコいい。
これを実際のコンサートなどで、サプライズ演出でやったらさぞかしカッコいいのだろう。
とはいえ、きちんとしたコンサートホールでやっても防音設備はしっかりしていますし、お客さんも当然黙って聞いているはずなので、ほぼ無音と言っても差し支えないでしょう。
なので多少の差異はあるかもしれませんが、結局どのコンサートホールでやっても同じような『4分33秒』になっちゃいません??
じゃあ『4分33秒』を演奏するなら
どこが良いんですか
決めます。
どこが良いのか。
しかし、いくらすべて休みの曲とはいえ、楽器も持たずに……というのは曲や数多いる演奏家に失礼なのできちんと楽器を購入しました。
カリンバです。
これで準備万端です。
まず考えたいのが、Wikipediaに書かれていた聴衆自身が立てる音などの意図しない音は存在するという点。
つまり人が多い空間の方が意図しない音がたくさん発生するので、演奏場所に適しているのでは……?
人が多いところといえば……
新宿駅だッ
はい。
やってきました、新宿駅。
休日ということもあり、かなりの人混みです。GWということもあり、やはりかなり人がいます。
ここで『4分33秒』を演奏していきたいと思います。
では……
演奏開始!
流石に4分33秒もの音声を再生するのが面倒な人もいると思うので、僕文字起こしをした画像を見せたいと思います。
※記事の最後に実際の録音した音声を載せておくので、もしお時間がありましたら是非お聞きください。
どこか足早な靴音や、屋外広告の音、人々の喧騒。
まさに人々がいまここに生きていることを感じさせるような音楽ではないでしょうか。
ここにいる人全員がこの『4分33秒』の演奏者であり聴衆なのです。
では、次の演奏場所に行きましょう。
2つ目の場所は新宿駅と同じく人は多いが、また違った音を聞ける場所に向かいたいと思います。
新宿御苑に来ました。
やはり、新宿駅と同じく多くの人がいます。
良い感じに演奏できそうな場所を探しましょう。
天気がものすごくいいので、レジャーシートを広げてお昼を食べたりお昼寝している人が多く見られます。
良い場所を見つけたので、ここで演奏したいと思います。
では……
演奏開始!
以下、文字起こし画像です。
どうでしょうか。
平和という言葉を音で表すなら、もうこれなのではないでしょうか。
休日に仕事の疲れがまだ取れていないであろう親が自分と遊んでくれた思い出がありありと浮かんできます。鳥の囀りまで聞こえていました。新宿駅とは違いゆっくりとした時間が流れていることが容易に想像でき、友人や家族との穏やかな日々。そんな音楽でした。
では、3つ目の場所に向かいます。
人が関係した意図しない音はもう十分に録れたと思うので、次は自然の意図しない音がする場所で演奏したいと思います。
江ノ島に来ました。
天気は生憎の雨。しかしながら、『4分33秒』は意図しない音が音楽になるので、関係ありません。
良い感じに演奏できそうな場所を探します。
せっかく江ノ島まで来たのでやはり海の音は入れたいと思い、人がほとんどいなかった島の裏側までやってきました。
海も近く、いい場所が見つかりました。
雨脚も強まってきたので早速……
演奏開始!
以下、文字起こし画像です。
ビニール傘に当たる雨の音、奥から少し聞こえる波の音。
まるで世界に自分一人取り残されている孤独感があり、少し悲しさもある、でもそんな孤独感も悲しさもこの大きな海が全部洗い流してくれる……
そんな音楽でした。
最後の4つ目は、人の多い駅前、公園、そして人のいない海と来たので、人と自然が丁度良く両立している場所、観光地に向かいたいと思います。
海の次といえばやっぱり山です。
どんどん車を走らせて……
着きました!
日原鍾乳洞です。
日原鍾乳洞は奥多摩のさらに奥にあります。東京都は思えませんね。到着した時間が遅かったことが幸いしたのか、休日にもかかわらず思っていたほど観光客は多くなかったです。
では中へ入り演奏に適した場所を探したいと思います。
中は思っていたより広く、ひんやりとした空気が立ち込めており神秘的です。
人の邪魔になりにくく、良い感じの場所を見つけたので演奏していきたいと思います。
では……
演奏開始!
以下、文字起こし画像です。
滴り落ちる水の音、遠くから聞こえる観光客の声。その全てが反響し、普段聞くことのない音になっている。また、水琴窟の音も非常に神秘的になっていて、まさに地球の歴史を感じさせてくれる。そんな音楽でした。
※後で調べてわかったのですか、録音場所である水琴窟は日原鍾乳洞固有のものではありませんでした。しかしながら、鍾乳洞内にある水琴窟はあんまり無いと思うので、セーフということにしておいてください。お願いします!
すいません!
一位を決める企画だったのですが、どれも思っていたより良く一位を決めることができませんでした。
それに世界にはまだまだ聞きたい『4分33秒』が溢れていることに気が付いてしまいました。
なので理想の『4分33秒』を見つけるためにいろいろな場所、シチュエーションに訪れたいと思います。
いかがでしたでしょうか?
合計4つの演奏を聴いていただきました。
ここまで読んでくれた読者の方々はどの『4分33秒』が好みでしたか?個人的には新宿御苑の『4分33秒』が一番好みでした。やっぱり聞いているだけで心が穏やかになるような音楽で、何度も聴いてしまいます。
これから出掛ける時には少し立ち止まって、今いる場所の音を聴いてみるのもいかもしれません。きっとあなただけの音楽があるはずです。
では最後に実際に録音したものを置いておくので、是非聞いてみてください。
ありがとうございました。
※Twitterです→https://twitter.com/2511usamiryo